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浦和地方裁判所 昭和45年(わ)706号 判決

本籍

長野県小県郡川西村上室賀一、九二五番地

住居

埼玉県川越市元町一丁目七番一〇号

もと国家公務員

有賀和雄

大正一四年九月九日生

本籍

埼玉県所沢市有楽町六六九番地

住居

埼玉県所沢市有楽町七番五号

会社役員

深井巽

大正一二年九月一一日生

本籍

埼玉県所沢市大字所沢六六九番地

住居

埼玉県所沢市宮本町一丁目三番一〇号

会社役員

深井久彌

大正一四年九月一九日生

本籍

埼玉県狭山市大字堀兼一、一七一番地

住居

埼玉県所沢市緑町四丁目一番二〇号

公認会計士兼税理士

原島正命

大正三年一月八日生

本籍

東京都板橋区前野町四丁目六一番地

住居

右に同じ

会社役員

車田利夫

大正一一年五月二〇日生

本店所在地

埼玉県川越市大字下広谷四七七番地

商号

ノリタ光学株式会社

右代表者代表取締役

車田利夫

右有賀和雄に対する収賄、深井巽、深井久彌、原島正命に対する贈賄、車田利夫に対する贈賄、法人税法違反、ノリタ光学株式会社に対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は検察官高橋武三出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有賀和雄を懲役二年に、

被告人深井巽を懲役八月に、

被告人深井久彌を懲役七月に、

被告人原島正命を懲役一年二月に、

被告人車田利夫を懲役一年六月に、

被告人ノリタ光学株式会社を罰金八〇〇万円に各処する。

担し、被告人深井巽、同深井久彌、同原島正命、同車田利雄に対し、本裁判確定の日からそれぞれ二年間その刑の執行を猶予する。

被告人有賀和雄から金六一六万円を追徴する。

訴訟費用は被告人深井巽、同深井久彌の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

1  被告人有賀和雄は、大蔵事務官で昭和四三年七月一〇日以降川越税務署法人税課長として同署長を補佐し、同署管内の法人にかかる法人税の賦課及び減免、課税標準の調査等同課の所掌事務を総括掌理していたもの。

2  被告人深井巽、同深井久彌は同署管内の所沢市有楽町七番五号に本店を設け醤油の醸造及び販売等を業とする深井醤油株式会社の取締役をしているもの。

3  被告人原島正命は、同署管内の所沢市元町二六番三号に原島公認会計士事務所を設け、公認会計士ならびに税理士業務を行なつているもの。

4  被告人ノリタ光学株式会社は、同署管内の川越市大字下広谷四七七番地に本店を置き、光学機械器具等の製作ならびに販売等の事業を営むもの。

5  被告人車田利夫は同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているもの、

であるが、

第一被告人有賀和雄は

一、昭和四四年四月二七日ころ、所沢市有楽町七番五号被告人深井巽方において、被告人深井巽、同深井久彌より、深井醤油株式会社の昭和四三年度分の法人税確定申告を行なうにあたり同被告人らにおいて算出した利益額を認容されたい。その調査等についても寛大な取扱いを得たい旨の請託を受け、同被告人らからその報酬として供与されるものであることを知りながら現金一五万円の供与を受け、

二、同四五年四月二九日ころ、右同所において同被告人らから同会社が行なう昭和四四年度分の法人税確定申告につき右同趣旨の請託を受け、同被告人らからその報酬として供与されるものであることを知りながら現金一五万円の供与を受け、

三、被告人深井巽から、同会社の法人税確定申告に対する調査あるいは税額の算定等につき好意ある取扱いを受けたいことならびに将来も同様好意ある取扱いをしてもらいたいことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら、川越市元町一丁目七番一〇号被告人有賀和雄方において、被告人深井巽の妻深井うた子を介し

1 昭和四三年一二月七日ころ、現金八万円

2 同四四年七月二〇日ころ、現金七万円

3 同年一二月七日ころ、現金八万円

4 同四五年七月一〇日ころ、現金一〇万円

の各供与を受け、

四、昭和四五年一月下旬ころ、川越市元町一丁目七番一〇号の被告人有賀方において、川越税務署管内の飯能市大字双柳七七六番地の二に本店を設け貨物自動車による輸送等を業とする高麗川通運株式会社の代表取締役武田正章、同会社の取締役横手惣司らより、同会社のなした法人税確定申告が虚偽過少のものであるにも拘らずこれを是認する等、同会社の法人税に関する調査あるいは課税額の決定等につき便宜寛大な取扱いを受けたいことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら現金二〇〇万円の供与を受け、

五、同年六月下旬ころ、前記被告人有賀方において、川越税務署管内の川越市旭町二丁目八番二号に本店を設け自動機械類の製造販売等を業とする川越精密工業株式会社の代表取締役高橋信江、同会社の取締役高橋勉らより同会社の法人税確定申告につきなされた同税務署の更正処分に対し異義を申立てた場合にこれを認容してもらいたいことならびに将来同社が行なう法人税確定申告に対する調査あるいは税額の算定等につき好意ある取扱いをしてもらいたいことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら、現金一〇万円の供与を受け、

六、川越税務署管内の川越市富士見町八番の七に本店を設け特殊鋼材等の加工販売を業とする埼玉鋼材工業株式会社の代表取締役猪鼻恒次より同会社の法人税確定申告に対する調査あるいは税額の算定等につき好意ある取扱いをしてもらいたいことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら前記被告人有賀方において

1 昭和四四年七月一〇日ころ、現金二万円

2 同年一二月下旬ころ、現金三万円

3 同四五年七月中旬ころ、商品券三枚(金額合計三万円)

の各供与を受け、

七、川越税務署管内の川越市中原町一丁目六番三号に本店を設け、靴類の販売を業とする平和商事株式会社の代表取締役斉藤明雄より、同会社の法人税確定申告に対する調査あるいは税額の算定等につき好意ある取扱いをしてもらいたいことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら前記被告人有賀方において

1 昭和四三年七月中旬ころ、現金一万円

2 同年一二月一〇日ころ、現金一万円

3 同四四年七月下旬ころ、現金一万円

4 同年一二月二〇日ころ、現金一万円

5 同四五年七月下旬ころ、現金一万円

の各供与を受け

八、被告人車田利夫から前記ノリタ光学株式会社の法人税に関する調査あるいは課税額の決定等につき便宜寛大な取扱いを受けたいことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら東京都豊島区池袋二丁目九六九番地所在料亭有明において

1 昭和四三年九月ころ、現金五〇万円

2 同四四年四月ころ、現金五〇万円

3 同年一〇月ころ、現金五〇万円

の各供与を受け、

九、昭和四五年六月一九日ころ、所沢市元町二五番五号所在レストラン喫茶「みね」において被告人原島正命から、同被告人が税理士として関与してなした川越税務署管内の入間市豊岡町三丁目一〇番一六号所在の株式会社富士商会の解散に伴なう法人税確定申告に関する調査あるいは税額の算定等につき何かと世話になつたことならびに将来も他の法人につき同被告人が関与税理士として同署に法人税確定申告をなす場合にも同様好意ある取扱いをしてもらいたいことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら現金一八〇万円の供与を受け、

もつてそれぞれ自己の職務に関し賄賂を収受し、

第二被告人深井巽、同深井久彌は共謀のうえ、

一、前記第一の一記載の日時場所において、同記載のとおり被告人有賀和雄に請託をし、その報酬として同被告人に対し現金一五万円を供与し、

二、前記第一の二記載の日時場所において、同記載のとおり被告人有賀和雄に請託をし、その報酬として同被告人に対し現金一五万円を供与し、

もつてそれぞれ被告人有賀和雄の職務に関し賄賂を供与し

第三被告人深井巽は

一、前記第一の三記載の趣旨のもとに同記載の場所において被告人有賀和雄に対し同記載のとおり妻深井うた子を介し

1 昭和四三年一二月七日ころ、現金八万円

2 同四四年七月一〇日ころ、現金七万円

3 同年一二月七日ころ、現金八万円

4 同四五年七月一〇日ころ、現金一〇万円

を供与し、もつて被告人有賀和雄の職務に関し、それぞれ賄賂を供与し、

二、昭和三九年九月一日以降昭和四五年三月三一日までの間所沢市有楽町七番地に所在する埼玉県所沢公共職業紹介課就職促進指導官として一般求職者の職業紹介、職業指導等の職務に従事していた労働事務官加島市太郎に対し、前記深井醤油株式会社の求人申込に対し、求職者を紹介するなど好意ある取計らいをしたことならびに将来も同様の取計らいをしてほしいことに対する謝礼の趣旨で、所沢市有楽町七番五号の被告人深井巽方において

1 昭和四三年四月二五日ころ、現金五、〇〇〇円

2 同年七月一七日ころ、現金一万円

3 同四四年四月初旬ころ、現金五、〇〇〇円

を各供与し、

もつて、前記加島市太郎の職務に関しそれぞれ賄賂を供与し、

第四  被告人車田利夫は前記第一の八記載の趣旨のもとに同記載の場所において被告人有賀和雄に対し同記載のとおり、

1 昭和四三年九月ごろ、現金五〇万円

2 同四四年四月ごろ、現金五〇万円

3 同年一〇月ごろ、現金五〇万円

を供与し、もつて被告人有賀和雄の職務に関し、それぞれ賄賂を供与し、

第五  被告人原島正命は、前記第一の九記載の日時場所において同記載の趣旨のもとに被告人有賀和雄に対し現金一八〇万円を供与し、もつて同被告人の職務に関し賄賂を供与し、

第六  被告人車田利夫は、被告人ノリタ光学株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一、昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、所得金額が五〇、九三九、六八四円でこれに対する法人税額が一七、一三六、七〇〇円であるのにかかわらず公表経理上架空仕入れ等架空の支出を計上する等の行為により所得を秘匿したうえ、昭和四三年二月二九日川越市三光町三六番地の一所在川越税務署において、同署長に対し、所得金額が一五、四五〇、五一七円でこれに対する法人税額は四、七三一、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税一二、四〇四、九〇〇円を免れ、

二、昭和四三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、所得金額が四三、九〇八、四五五円でこれに対する法人税額が一四、五四五、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四四年二月二八日前記川越税務署において、同署長に対し、所得金額が二三、五九七、三四二円でこれに対する法人税額は七、四四五、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税七、一〇〇、六〇〇円を免れ、

三、昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、所得金額が五六、六七九、八四六円でこれに対する法人税額が一八、八五六、五〇〇円であるのにかかわらず前同様の方法で所得を秘匿したうえ、昭和四五年二月二八日前記川越税務署において、同署長に対し、所得金額が二五、七六三、四一四円でこれに対する法人税額は八、〇四七、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税一〇、八〇九、二〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

注、以下に表示する記録中の丁数は特にその旨記載するもののほか昭和四五年第七〇六号、第七四三号、第七六〇号、同四六年第九一号事件関係記録の丁数を示す。

判示冒頭の事実につき

一  瀧下昌久の司法警察員に対する供述調書

一  登記官作成の登記簿謄本二通(担し冒頭2の事実につき記録一九七丁、同4、5の事実につき記録一、二五七丁以下のもの)

判示第一の一ないし三、第二の一、二、第三の一の事実につき

一  被告人深井巽の当公判廷における供述(相被告人有賀と共同審理中のもの)

一  被告人深井巽の検察官に対する供述調書三通(記録各二、五七五丁、二、五八七丁、二、六一三丁以下のもの)

一  第五、六回公判調書中証人深井うた子の供述部分、

一  有賀さかえの検察官(記録二一四丁以下のもの)および司法警察員(同二〇五丁以下のもの)に対する供述調書各一通

判示第一の一ないし三、第二の一、二、第三の一の事実につき

一  被告人有賀の検察官に対する供述調書二通(記録各三、三六六丁、三、三七九丁以下のもの)(担し被告人深井巽、同深井久彌の関係ではその各謄本)

一  第五回公判調書中証人佐藤拓夫の供述部分

判示第一、二、第二の一、二の事実につき

一  被告人有賀の当公判廷における供述(相被告人深井巽、同深井久彌と共同審理中のもの)

一  被告人深井久彌の当公判廷における供述(相被告人有賀と共同審理中のもの)

一  被告人深井久彌の検察官に対する供述調書三通(記録各二、七〇七丁、二、七二七丁、二、七四五丁以下のもの)

判示冒頭2および第三の二の事実につき

一  第七一七号事件第一回公判調書中被告人深井巽の供述部分

一  被告人深井巽の検察官(二通)、(第七一七号事件記録各三六七丁、三八四丁以下のもの)および司法警察員(三通)、(同記録各三三〇丁、三四四丁、三五四丁以下のもの)に対する各供述調書

判示第三の二の事実につき

一  加島市太郎の検察官(三通)および司法警察員(三通)に対する各供述調書

一  深井うた子の検察官(二通)(第七一七号事件記録二三六丁および二四〇丁以下のもの)および司法警察員(二通、同記録二一三丁および二二三丁以下のもの)に対する各供述調書

一  石田貞雄の検察官に対する供述調書

一  春日部公共職業安定所長作成の送付書

一  司法警察員田村和彦作成の電話録取書謄本二通

判示第一の四ないし七の事実につき

一  被告人有賀の当公判廷における供述

判示第一の四の事実につき

一  被告人有賀の検察官(記録一、〇九一丁以下のもの)および司法警察員(三通)(同記録各九三三丁、九四〇丁、九六四丁以下のもの)に対する各供述調書

一  第四回公判調書中証人武田正章、同横手惣司の各供述部分

一  小林玉次、綿貫茂の検察官に対する各供述調書

一  登記官作成の登記簿謄本一通(記録二三七丁以下のもの)

判示第一の五の事実につき

一  被告人有賀の司法警察員に対する供述調書(記録九八五丁以下のもの)

一  高橋勉、高橋信江の検察官および司法警察員に対する各供述調書

一  有賀さかえの司法警察員に対する供述調書(記録五一九丁以下のもの)

一  登記官作成の登記簿謄本一通(記録四七〇丁以下のもの)

判示第一の六の事実につき

一  被告人有賀の司法警察員に対する供述調書三通(記録各九二九丁、一、〇三五丁、一、〇六二丁以下のもの)

一  猪鼻恒次の検察官および司法警察員に対する各供述調書

一  有賀さかえの司法警察員に対する供述調書二通(記録五三六丁および五四一丁以下のもの)

一  登記官作成の登記簿謄本一通(記録五二八丁以下のもの)

判示第一の七の事実につき

一  被告人有賀の司法警察員に対する供述調書二通(記録一、〇〇六丁および一、〇〇七丁以下のもの)

一  斉藤明雄の検察官および司法警察員に対する各供述調書

一  有賀さかえの司法警察員に対する供述調書二通(記録五四八丁および五五八丁以下のもの)

一  登記官作成の登記簿謄本一通(記録五四五丁以下のもの)

判示第一の五、六の事実につき

一  被告人有賀の検察官に対する供述調書(記録一、一二七丁以下のもの)

一  有賀さかえの検察官に対する供述調書(記録五七四丁以下のもの)

判示第一の五ないし七の事実につき

一  被告人有賀の検察官(記録一、〇七一丁以下のもの)および司法警察員(同九一九丁以下のもの)に対する各供述調書

一  有賀さかえの検察官に対する供述調書(記録五六〇丁以下のもの)

判示第一の八、九、第四、第五の事実につき

一  被告人有賀の検察官に対する供述調書二通(記録三、四八一丁および三、五〇一丁以下のもの)

判示第一の八、第四の事実につき

一  被告人車田の当公判廷における供述(相被告人有賀と共同審理中のもの)

一  被告人車田の検察官(三通)(記録各一、七四四丁、一、七七五丁、一、七八七丁以下のもの)および司法警察員に対する各供述調書

一  被告人有賀の検察官に対する供述調書(記録三、五一四丁以下のもの)

一  山田睦愛の検察官(記録一、三二〇丁以下のもの)および司法警察員に対する各供述調書

一  司法警察員作成の検証調書(記録一、二六〇丁以下のもの)

判示冒頭3および第一の九、第五の事実につき

一  被告人原島の公判廷における供述(相被告人有賀と共同審理中のもの)

一  被告人原島の司法警察員に対する供述調書(記録三、五二七丁以下のもの)

一  石田貞夫の司法警察員に対する供述調書二通

判示第一の九、第五の事実につき

一  被告人有賀の当公判廷における供述(相被告人原島と共同審理中のもの)

一  被告人原島の検察官(二通)および司法警察員(五通)(記録各三、五三三丁、三、五四五丁、三、五六四丁、三、五八三丁、三、五八七丁以下のもの)に対する各供述調書

一  司法警察員作成の検証調書(記録一、四五二丁以下のもの)

一  登記官作成の登記簿謄本(記録一、三五〇丁以下のもの)

判示第六の事実につき

一  被告人会社代表者車田利夫ならびに被告人車田の当公判廷における供述

一  被告人車田の検察官に対する供述調書二通(記録五、八五五丁および五、八八六丁以下のもの、前者は謄本)

一  被告人車田の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  被告人車田作成の答申書(二通)および上申書

一  山田睦愛の検察官に対する供述調書二通(記録五、五二七丁および五、五三九丁以下のもの、前者は謄本)

一  山田睦愛、阪本健、津田博造、稲垣秀子、佐藤富二、車田イネ、上松品雄、横内一郎、門村公則、館野倉次、長岡百合子、長岡光男、丸山静の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  山田睦愛、上松品雄、佐藤寛、冷牟田達郎、引地孝一、中村文夫、川俣方一、島崎政家、岩田隆太郎、清水衛、清水太郎、高津尚行、佐野清、高橋弘、崖悊、吉川実、若林和雄、高田時夫、西野宗行、稲垣秀子、片野いつ子、坂弘子、小高幸男、荒川満、小菅武司、釼持和田、阿部常男、小椋武雄、増田稔、黒古武夫、関堅、沢村清、丸山静、山田茂、今井専一、崖龍義、新井正一、林善松、小沼三千政、滝嶋壮三、大塚牧雄、新井孝太郎、篠田富造、上松国雄、土方正治、関根義雄、只隅一、石井久夫、勝又昭司、芦田実子、御手洗毅、今泉耕吉、日野欣哉、村上中央、山本粲四郎、田中文治郎、細田一郎、糸井繁春、瀬谷金好、西川哲治、石黒圭助、斉木政次、早坂広、藤田敏雄、鈴木武、内藤智男、秋本精、津田博造作成の各答申書

一  押収にかかる総勘定元帳九綴(昭和四六年押第一二五号の二八ないし三二)、現金、預金、受手支手、借入金元帳四綴(同号の三三、三四、一一一、一五九)日誌一冊(同号の三五)、済通帳二冊(同号の三六)、ノリタ光学(株)裏預金メモ一枚(同号の三七)、預貸金大口先調一綴(同号の三八)、取引先カード四枚(同号の三九)、通知預金手控三冊(同号の四〇)、取引先係日誌一二冊(同号の四一)、封鍼保護預け依頼書二枚(同号の四二)、預金メモ五枚(同号の四三、四四)、訪問日誌六冊(同号の四五)、定期預金済証書七枚(同号の四六)、印章一九個(同号の四七、一六二)、ノート二冊(同号の四八、四九)、交際費関係書類一綴(同号の五〇)、売上仕入帳一綴(同号の五一)、売上帳二綴(同号の五二、五六)、申告書綴(同号の五三)、売上日計表一綴(同号の五四)、売掛帳一綴(同号の五五)、売上仕入月計表一綴(同号の五七)、参考書類綴六綴(同号の五八、一〇五)、山田弁護士関係綴(同号の五九)、丸山関係債務弁済関係書類一綴(同号の六〇)、普通預金通帳一通(同号の六一)、農地売買契約書一通(同号の六二)、領収証五枚(同号の六三、六八)、土地代金領収証二枚(同号の六四)、メモ帳一冊(同号の六五)、取立手形預り証一綴(同号の六六)、済約束手形一枚(同号の六七)、公表棚卸表一綴(同号の六九)、第一製造部棚卸資料綴一綴(同号の七〇)、材料受払簿一綴(同号の七一)、受払帳二綴(同号の七二)、在庫帳三綴(同号の七三ないし七五)、決算資料七綴(同号の七六、一〇二、一〇三、一〇六、一〇八、一二四、一五六)、完成品金物部品原価管理簿一綴(同号の七七)、見積書関係綴一綴(同号の七八)、棚卸表二綴(同号の七九)、棚卸結果綴一綴(同号の八〇)、実際棚卸表一綴(同号の八一)、在庫表及び部品表一綴(同号の八二)、資材預け明細表一綴(同号の八三)、材料支給先別台帳一綴(同号の八四)、棚卸明細表一綴(同号の八五)、第一製造部材料製品仕掛品受払帳一綴(同号の八六)、第一コート部仕掛品製品受払帳一綴(同号の八七)、第一製造部コートバルサム製品仕掛品受払帳二綴(同号の八八、八九)、芯取コート上り事務所在庫仕掛品製品受払帳一綴(同号の九〇)、外注受払簿二綴(同号の九一、九二)、製品(第一製造部輸出品)受払簿一綴(同号の九三)、第一バルサム部製品仕掛品受払簿一綴(同号の九四)、外注荒摺仕掛品受払帳一綴(同号の九五)、第二荒摺ペンタ素材関係受払帳一綴(同号の九六)、ペンタプリズム仕掛品台帳一綴(同号の九七)、金物関係原材料仕掛品受払帳四綴(同号の九八ないし一〇一)、機械売買契約証書一綴(同号の一〇四)、公正証書二通(同号の一〇七)、金銭出納帳五冊(同号の一〇九、一一〇、一二五、一四二)、仕入帳一一綴(同号の一一二、一一三、一二六、一三一)、外注費帳四綴(同号の一一四、一一五、一二七、一三二)、振替伝票四九綴(同号の一一六、一一七、一一八、一二八)、請求書一八一綴(同号の一一九、一二〇、一二九、一三三)、領収書三八綴(同号の一二一、一二二、一三〇、一四〇、一四三)、賃金台帳四綴(同号の一三四、一三五)、所得税源泉徴収簿三綴(同号の一三六、一四六、一五一)、社長個人税金関係綴一綴(同号の一三七)、車基永に対する個人贈与関係書類一綴(同号の一三八)、保険料領収証二綴(同号の一三九、一四四)、領収書控一冊(同号の一四一)、パスポート一〇冊(同号の一四五)、土地売買契約書領収書一綴(同号の一四七)、第一銀行志村支店普通預金済通帳一冊(同号の一四八)、定期預金名寄帳一枚(同号の一四九)、経理税務カード一冊(同号の一五〇)、東京工場建物売買契約関係書類一綴(同号の一五二)、永代信用組合出資金預り書二枚(同号の一五三)、経理資料一綴(同号の一五四)、特許出願書類一綴(同号の一五五)、土地関係書類(同号の一五七)、不動産関係書類一綴(同号の一五八)、手形受払帳一冊(同号の一六〇)、ゴム印九個(同号の一六一)

(法令の適用)

被告人有賀の判示収賄の各所為中判示第一の一、二の各受託収賄の点は刑法一九七条一項後段に、判示第一の三ないし九の各単純収賄の点は同法一九七条一項前段に、被告人深井巽、同深井久彌の判示第二の一、二の各贈賄の所為は同法六〇条、一九八条一項、罰金等臨時措置法三条一項一号(刑法六条、一〇条により昭和四七年法律第六一号による改正前のもの、以下同措置法の適用について同じ)に、被告人深井巽の判示第三の一、二の各贈賄の所為、被告人車田、同原島の判示各贈賄の所為はいずれも刑法一九八条一項、罰金等臨時措置法三条一項一号に、被告人車田の判示各法人税法違反の所為は法人税法一五九条一項に、被告人ノリタ光学株式会社の判示各法人税法違反の所為は同法一六四条一項、一五九条一項に各該当するが、被告人深井巽、同深井久彌、同車田、同原島の各贈賄、被告人車田の各法人税法違反の罪につきいずれも所定刑中懲役刑を選択し、被告人有賀、同深井巽、同深井久彌、同車田、同ノリタ光学株式会社の以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪なので被告人有賀、同深井巽、同深井久彌、同車田につき同法四七条本文、一〇条により被告人有賀につき最も重い判示第一の一の、被告人深井巽につき同じく判示第二の一の、被告人深井久彌につき重い判示第二の一の、被告人車田につき同じく判示第四1の各罪の刑にそれぞれ法定の加重をし、被告人ノリタ光学株式会社につき同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、所定刑期および金額の範囲内で被告人有賀を懲役二年に、被告人深井巽を懲役八月に、被告人深井久彌を懲役七月に、被告人原島を懲役一年二月に、被告人車田を懲役一年六月に、被告人ノリタ光学株式会社を罰金八〇〇万円に各処することとし、情状により同法二五六条被告人深井巽、同深井久彌、同車田、同原島に対し、本裁判確定の日から二年間それぞれその刑の執行を猶予することとし、被告人有賀が収受した判示各賄賂はいずれもこれを没収することができないから同法一九七条の五後段により同被告人からその価額金六一六万円を追徴することとし、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人深井巽、同深井久彌の連帯負担とする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中野保昭)

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